2015年6月21日日曜日

SONY SEL28F20  基礎テスト(Live!オーロラ・テスト)

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 ソニーのフルサイズ一眼カメラ、α7シリーズ向けにリリースされた広角単焦点レンズ「SEL28F20」はFEマウントレンズの中でGタイプやツアイスではないですが、比較的安価ながら、かなりシャープな描写をするレンズです。

 Live!オーロラはメインが生中継コンテンツですので、ライブ圧縮伝送時に画質がどうしても劣化しますから、解像感や収差など細かい部分はある程度問題ないという事実もありながら、収録映像や静止画の高感度撮影も重要なコンテンツなので、望遠鏡で星景撮影をする人ほとではないものの、絞り開放時の写りを気にしながらテストをしました。
 また、最近の高画素路線の影響もあるのか解像度命なレビューが多いので、少しばかり解像度にも焦点合わせてテストをしましたが、僕のテストの本命はSEL057FECでの星撮りと逆光耐性、周辺の収差です。

 ただ、SEL28F20はFEマウントレンズ群の中ではプロ仕様ではないですが、予想以上にクリアな写りをしてくれます。(僕は性能解析命!ではありません)
 ちなみにα7シリーズは発表時に展示会で見た時から、個人的にビビビッと嗜好の信号が鳴ったカメラなので、若干想い入れがある内容だと思います(笑)

 さて、SEL28F20は開放値がF1.8ではないのが少し残念ですが、価格やサイズ、α7シリーズとの組み合わせを考えると趣味的なスナップ撮影から風景まで万能に扱える便利なレンズだと思います。
 「その1 28mm 基礎テスト編」「その2 コンバージョンレンズ・テスト」「その3 魚眼コンバージョンレンズ・テスト」 「その4 α7含めた感想や応用編」 「その5 番外編」に分けて記事にしたいと思います。
 星景撮影は赤道儀やリモコンなしのマニュアルモードです。それ以外は絞り優先モードで撮影し、ホワイトバランスはAuto、クリエイティブスタイルはスタンダード、ダイナミックレンジオプティマイザーもAuto、高感度ノイズ補正はAuto、長時間露光ノイズ補正はOffにしてあります。(一部はRAW現像ソフト、Image Data Converterで補正したものもあります)

 しばらく時間を使いながら仕事の合間にパシャリと手持ち撮影でテストをしてきました。(富士山は狙って行きましたが)小型のシステムなので、仕事鞄に放り込んでおけるというのは本当に便利です。打ち合わせ先に三脚まで持っていけないので、夜景・星景以外は全て手持ち撮影です。高感度耐性が強いので、時には高感度に頼りすぎてノイズが出ることもありましたが、総括すると、何度も言うように小型フルサイズ・システムの恩恵は十分にわかりました。

撮って出し。F2開放。広角レンズですが予想以上に被写界深度が浅く、前輪にピンが合いませんでした(F4-6くらいにしておけば良かったか)。α7の周辺光量のクセを活かした風合いの写真も撮れます。
撮って出し。28nm画角はポートレート風の写真を被写体に寄った状態でも撮ることができるので、横を歩く恋人を夕焼け越しにパシャリなんてこともできるでしょう。(人物写真を公開できないので、この写真でご勘弁を)背景へのボケの変化は滑らかです。
F4 このレンズがカリカリに解像し始める絞り値の中では開放気味ですが、色収差はあまり見られません。
撮って出し。F4.5 何気ない小枝にピンを合わせてボケを見てみた。仕事の撮影でボケを効かせることはあまりないが、参考までに。
撮って出し。絞りF9 周辺までシャープで解像感も十分です。α7のダイナミックレンジのおかげか、色乗りが自然です。屋根の庇の暗部もRAW現像の補正で持ち上げれば細部が見えてくると思います。個人的な印象ですがソニーの色作りはビビットになる傾向だと思っていましたが、α7sもそうですが自然な階調に仕上がってくれます。

撮って出し。F11 ISO250 SS1/640 逆光に近い環境ですが、色の階調やコントラストは良好です。遠景を見ても十分に解像しているようです。
撮って出し。F22 さすがに絞りすぎで全体的に解像感が失われています。こういうテストは、システム導入時、自動モードで絞りのしきい値を決めるときに大切です。逆光からのフレアは自然で煩くないですね。
クリエイティブスタイルを風景にして、露出を-0.3ほど下げました。 F4 バリバリの逆光ですがコントラストも悪く無いですし、逆光耐性もかなり良いです。しかし今度はISOを下げすぎて(iSO50)ノイズから解像感が落ちてしまいました。はい、これもテストです。
F5.6 ISO250 クリエイティブスタイルを風景にしてみました。透明感も抜群。
撮って出し。F11。ISO100 1/30。通勤途中に急いで撮影したので、水平と中心がズレました・・。
上の画像の右上辺りを拡大。絞ると周辺も良好です。低感度ノイズか絞りすぎの回析現象かどちらかわかりませんがノイズが乗ってしまいました。
明るいレンズなので、SSとISOを低めで水面のさざ波も撮れる。僕の現場での活用は暗視環境下の動画撮影がメインですが、テストでは夜間の水面撮影をすることが多いです。

光源の周辺流れを見てみたかった。街頭などの強い光源は少し気になるか。RAW現像時に手前地面辺りの暗部を持ち上げてみましたが、高ダイナミックレンジなカメラはノイズを抑えたまま、こういう事もできるから良いです。テスト撮影の時も夜空にオーロラが浮かんだ様子を想定しながら構図を決めます。オーロラは地上の風景と共に描くと良いですが、地上で観測する人の様子も同時に入れると臨場感が高くなります。
ISO800、F6 夜間の撮影では、絞りを入れて露光抑え気味でも、信号機のように周辺の強めな光源がゴーストになって流れ気味です。星景撮影での表現力を見てみたい(報告はその2以降で)夜景もかなりシャープに写ります。低ノイズでクリアな写りはフルサイズの恩恵でもあるでしょう。
2015/06/20 月と木星と金星が綺麗な三角形を作っていました。
縦位置撮影の中心やや上部をクロップしています。 F2.2 SS1/13 ISO1600 ここでは街灯のフレア・ゴーストは少なめです。夜景の開放撮影でもパープルフリンジはあまり見られません。α7はISO1600くらいは常用ISOとしてガンガン使えます。
東京・マーチ エキュート 神田万世橋を万世橋から撮影。色温度8000K。 D-レンジオプティマイザでハイライトトーンを下げて、コントラストを上げています。 F2開放で撮影をしてみました。
F2開放 1/200 ISO200  RAW現像時にハイライトトーンやコントラストを簡易的ですが補正しました。「開放の描写は甘い・・」等の解析結果ばかりを信じる必要はない。使ってみればわかる事実というものはある。科学的な定説や論理より、自分の眼で見たものが事実だ。科学はそこから進化する。(あ、話がズレ過ぎた)
撮って出し。東京・マーチ エキュート 神田万世橋に、旧万世橋駅付近のミニチュアがありました。全体的にオシャレなモールに改築されていますが、鉄道ファン好みの演出も楽しめますね。F4 ISO1000 
撮って出し。F6.3 中央付近の人形にピンを合わせました。絞っても、被写界深度は結構浅いです。いつもはAFをあまり使いませんが、やはり便利ですね。シャキン!と高速でピンが決まります。
F11 1/100 ISO400
F2開放 
上の写真、右上部を拡大。 SEL28F20は開放ではダメだというわけではありません。描写が甘くなっている様子もありますが、撮影環境や対象によってはこれで十分じゃん、と言っても良い状況はあります。それに、どんなレンズでも絞り開放だと、甘い描写になるものが多いです。
カメラもレンズも道具ですから道具は使いよう、「弘法筆を選ばず」は大袈裟ですが、性能値や描写力ばかりに目がいっていたら、撮影対象やコンテンツへの注力が失われてしまいます。どんなに高価なレンズでも"描写のクセ”はあります。
広角レンズで風景を撮る場合、構図決めもそうですが、遠景の建造物や山々との距離感が意外と難しい。空を広めに写すのは長年の職業病でしょう、オーロラが揺れている構図を考えてしまいます(笑)
撮って出し。 風景撮影はできればRAW撮影をした後に処理を施した方が良いでしょう。思い切ってHDR撮影するか、コントラストをもう少し上げてみたい。α7シリーズの高ダイナミックレンジは後処理でもその真価が発揮されます。

 まずはSEL28F20単体のテストですが、シャープで色乗りが良く、色収差が少なめで逆光耐性も良好なのは嬉しい結果です。 周辺部分にある強い光源のフレア・ゴーストが気になりますが、F4-11くらいの絞りでは周辺部分も解像感はぐっと上がります。
 
 この解像感は、「その2、3」のコンバージョンレンズでも面白い結果が出ていますので、そちらもご覧ください。開放時の周辺流れや色収差はありますがさすがに専用設計されたコンバージョンレンズだけあって、良い印象です。

 オーロラや星景撮影では対象は真っ暗な夜空ですが、その夜空には必ず定期的にお月様が現れます。高感度撮影時の月光は日中撮影の太陽のように輝きますから、僕らの分野でも逆光耐性は重要です。
 また、星景撮影もそうですがオーロラ撮影もノイズ発生を抑えたいので、絞り開放にISOを出来る限り低めで撮影することが多いため、次項のコンバージョンレンズ・テスト編でもそうですが、絞り開放時の描写力を重視します。ただ、どんなレンズでも絞り開放時は絞った状態よりも解像感が落ちる傾向にありますから、僕は「開放は使えない」なんて事は気にせずに絞りを開けまくっています。

 仕事では超広角や魚眼の単焦点レンズばかり使い、プライベートでは50mm単焦点レンズをメインにスナップ撮りをしています。一方で、2年前から毎日持ち歩いているスマートフォンは偶然ですがソニーのXperiaZ1で、搭載されているレンズは35mm版換算で27mm F2と、今回テストしたSEL28F20と画角は同じような仕様です。ちなみにiPhone6のレンズも29mmと、最近のスマートフォンのレンズは28mm付近の広角レンズが使われることが多いようです。
 撮影の構図決めをする際には"慣れた画角”がベースになるので、スマートフォン撮影が一般的になっていることから、一眼カメラ初心者にとっても28mm画角のレンズは初めて買うレンズとしてもオススメだと思います。



(この記事は、独自の目的と解釈でテストを行った結果をまとめたものです。)

連載 α7 + SEL28F20 + SEL075UWC + SEL057FEC
その1 28mm 基礎テスト編
その2 コンバージョンレンズ・テスト
その3 魚眼コンバージョンレンズ・テスト
その4 α7含めた感想や応用編
その5 番外編

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